J LIGHTNING
INTERVIEW

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――時代の空気を反映しながらも、Jさんのずっと貫いてこられた軸を改めて示すような、力強い作品だと思いました。アルバムのテーマ、イメージはいつ頃芽生えたのですか?
世界的なパンデミックが起きて、音楽を取り巻く状況も変わって、もっと言えば、自分たちの日常も変わってきた、そんなタイミングでアルバムづくりを始めたんですよね。2年3ヶ月ぶりのアルバムになるんですけれども、今まで以上に、自分自身がプレイしてきた音楽って一体何だろう? そもそも音楽って俺にとって一体何だろう?みたいなところを改めて確かめるような作業だったんです。純粋に、こういった状況の中でも自分自身がずっとやり続けてきた音楽というものが、変わらず強いものでいてほしいという想いもあったし。こういった状況の中で生まれた新しいアルバムが、手に取って聴いてくれたみんなを燃え上がらせるような、そんな作品になればいいな、なんて思っていました。
――2020年の8月12日に、M7「MY HEAVEN」とM8「A Thousand Dreams」は両A面シングルとしてリリースがされています。この2曲をつくられた当時を今振り返って、どんなお気持ちでしたか?
あの頃は、今回のアルバムの全体像がまだ全く見えていなかったタイミングで。前作(『Limitless』)をつくった後、自分の中で次へと向かう通過点のようなところで新しい曲を書いた、という作品ですね。
――あの頃は、「ライヴというものは、これからどうなっていくんだろう?」という先行きが今以上に分からなくて、誰しも不安が強かった時期でしたよね。
そうですね。こうして振り返ってみると、「あぁ、こうだったな。ああだったな」という話を簡単にできるように今はなってはいますけれども、この2年間というのは、僕たち自身だけではなくてみんながそういう状況だったから。ただ一つ、熱を絶やさない、音楽を止めない、そういった想いではいましたね。
――Jさんのライヴは、ファンの皆さんが密集して、汗が飛ぶ様も含めた熱量が大きな魅力だったので、コロナ禍でその場が奪われてしまう状況は、とてもショッキングなことだったと思うんです。でも、Jさんは早くからオンライン・ライヴを実施し、リアルタイムでファンの方と繋がるべく、様々な発信をしてこられました。
今言われたような(観客が密集する)スタイルのライヴをやってきたのも事実なんですけれど、僕自身の中では、そのスタイルじゃなければライヴは絶対成立しないんだ、という音楽をやってきたつもりはないんです。
だから、例えばそれが椅子席になったとしても、以前とは違う形になったとしても、本質が決して変わらない音楽をやりたいと常に思っていて。
ずっと昔に戻って考えてみると、その逆のパターンもあるわけじゃないですか?
例えば(日本)武道館を初めてオールスタンディングでライヴをした、とかね。
それまであった形を、そういうふうに変えていく。 椅子席がスタンディングになる、という形の変わり方はロックサイドから見ると分かりやすいベクトルですけども。
だから、いわゆるスタイル自体を追い掛けていたわけではなくて、僕としては、既成概念の中に“ない”ものを追い掛け続けているつもりなので。
「それがないと自分たちの音楽が100%表現できない」というものでは決してない。
今できることの中で、何が一番自分たちにとって大事なものか?をキャッチして、“音楽を楽しむ”ということを忘れずに進んでいったんですよね。 それが形としてはストリーミング・ライヴになったりして。
だからこそ、たぶん違和感がなかったんだと思う。
もちろん、やったことのないことが多かったので、最初は不確かで、あまり信じていない部分も存在していたのは確かだけど。
ただ、ストリーミング・ライヴの一回目に、一瞬にして「あ、こういう形でも、みんなと繋がることができるんだ」ってことを、僕もみんなも理解し合えたと思うし。 もちろん、リアルなライヴとは形は違うんですけれど、“ゼロか100か”じゃなくて、「いろいろな形で自分たちの音楽というものは生き続けられるんだ」ということを感じましたね。
――今回、例えばレコーディングの作業等でリモートが増えるなど、作業面でのコロナの影響はありましたか?
スタジオであるとか、レコーディングする環境とかでもやはりいろいろなことに気を遣って、タイトな状況下でやってはいましたね。「会ってミーティングしようか?」と以前だったらなっていた場面も、リモートになってはいたかも。
――コロナ禍の初期とは比べ物にならないぐらい、ZOOMなどのリモートツールを駆使するようになり、便利になった部分もありますよね。
そうですね。こういうことが起きて、オンラインでできることが増えて、新しい楽しみを知り、新しい武器としてファンのみんなと共有する時間も増えたし。いろいろな可能性を得ることもできたので、悪いことばかりじゃなかったな、というのも正直言ってあるよね。そういう意味では、ただでは倒れないぜ!っていう気持ちはあります。